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2010.02.03

パチャママの贈りもの

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松下俊文監督作品。(原題:El regalo de la Pachamama 日本・アメリカ・ボリビア合作 制作:Dolphin Productions:2009)
南米ボリビアのアンデス高地、ウユニ塩湖で塩を採取し、交易するケチュアの人々の暮らしを描く。
はじめは、ドキュメンタリーかと思って見始めたが、実際の暮らしに基づいて作られたフィクションだったらしい。でもオーディションで選ばれた人々の演技はとても自然で引き込まれた。

ウユニ塩湖といえば、写真でみたことがある。炎天下、氷にも見えるのは真っ白に結晶した塩の塊。その塩を切り出して、食用の塩として遠く離れた土地まで売りに行く。もちろん、今ではトラックで出荷する業者もあるのだが、高山の車の入れないような村に住む人々にとっては、昔ながらのリャマの背中ににをくくりつけた行商人が頼りだ。

ケチュアの少年コンドリは、父と共に初めてリャマの群れを引き連れて塩のキャラバンに出かける。野営、リャマの盗難、盗人への村人の制裁、炭坑での尋ね人、山村にすむ人々との物々交換、村を挙げての祭など、まさに色鮮やかなフォルクローレの世界。

言葉もすべて現地語で、出演者もオーディションで選ばれた地元の人たち。撮影にはなんと6年もかかったという。
暴力的な要素も含む祭のシーンなどは、ほんとうに祭の時にでかけて3年がかりで撮影したらしい。
この映画にも、失われゆく生業、自然に依存した暮らしへの哀惜のようなものが感じられる。年に一度、塩を運んできて、そのかわりに袋いっぱいのトウモロコシをもらい、宿の提供も受ける。こんな素朴な交易がいつまで続くというのだろう。
むかし、この映画のタイトルと同じ「パチャママの贈りもの」という絵本を持っていた。「パチャママ」とは、アンデスの民の「大地母神」のこと。唯一神ではなく、山にも谷にもたくさんいるのだ。山の上にすむパチャママの家に行った谷間にすむパチャママはジャガイモをごちそうになり、自分でも作りたいと種イモを譲り受ける。山の上のパチャママは低地のパチャママからトウモロコシの種をもらう。それぞれ育てようとするが、環境が違うためにうまく育たず、大げんかになる。そのけんかを見た湖の神コチャママが、それぞれが自分の所でよく取れる作物を作って持ち寄り、取り替えっこしたらいいではないかと知恵を授ける。それが今の市場の始まりというお話だった。
まさにそのジャガイモとトウモロコシを塩とさまざまな産物に置き換えたような現代の神話でした。
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そうそう、キノアというアカザ科の栽培植物が実際に栽培されている光景というのをこの映画で初めて見たような気がする。

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