« ヒマラヤ映画2本 | トップページ | BALLAD 名もなき恋の歌 »

2009.09.15

女の子ものがたり

西原理恵子の自伝的作品が原作の映画。でもロケ地は出身地高知ではなく、愛媛県。

公式サイトで原作者が「女の子はお砂糖でできているのではありません。女の子はしょっぱい体験でできております」と語っていた、けっして甘くはない少女時代の回想。
マンガはマンガでよく売れているようだけれど、メタフィクションの形式をとった脚本もよくできている。

海辺の田舎町を出て、東京でマンガ家になったなつみが、スランプに陥り、少女時代の仲の良かった友達を思い出す。回想シーンの小学校時代、高校時代をそれぞれ別の俳優さんが演じている。なつみは黄色〜オレンジ、きいちゃんは赤系、みさちゃんは青〜緑系のものをいつも身に付けていて、この色が3人を象徴する記号のようだ。

この仲の良かった三人組がバラバラになる時が来る。
なつみはもともとこの町を出て行こうと思っていたとはいえ、きいちゃんに「この町から出て行け、そして二度と戻ってくんな」と言われる大げんかの末に、本当に出て行く。そして、きいちゃんともみさちゃんとも違う人生を歩む。

スランプの中で、故郷の町に戻り、友達の足跡をたどるなつみ。ふっきれたように「ともだちのことをマンガにしよう」と決めるところで映画は終わる。

「女の子の友情物語」と一言でまとめられない。
なんといってもここに描かれているきいちゃん、みさちゃんのおかれた境遇の救いのなさにいたたまれなくなる。若い男の仕事は土方かやくざ、女の子はみんな大人になるとどこかにいなくなってしまう。殴られながらもやくざのような男と暮らすのが転ばぬ先の杖だと言ってのける。
こういう階層の現実をきっちり描くよねえ、サイバラは。
小学校時代のなつみは、裕福で優等生ぶった同級生を退けて、そうではないきいちゃん、みさちゃんと友情を結ぶ。「友達は選びなさいよ」と母に言われているのにも関わらず。
地方に生まれ、低階層出身であるってことが女の生き方を決めてしまう。
貧乏なのはまだしも、そこに必ずDVや犯罪が付随してくるというのがやりきれない。
世の中のDVのかなりの部分は貧困問題なのかもしれないな。
原作者は「女の子の方がずっと早く大人になる。女の人の方が賢いです」と言うけど、「殴られ上手」みたいなのは違うよね。したたかに強く生き抜くという意味なんだろうけど。

各時代の女の子役がみんな元気に健気に演じている。とくに、小中学生くらいまでは、貧しくても、家庭が複雑でも、キラキラ生き生きしてるよね。高校を出た後の辛い境遇にあっても彼女たちの生き方はある意味たくましくしぶといんだが、演じているのがとびきりの美少女たちだからなんだか痛々しさを感じさせてしまう。なつみの小学生時代と中高生時代を演じる二人はとても似た雰囲気で違和感がないのだけれど、大人時代のなつみが深津絵里で、急に別人になってしまうんだなあ。誰がやれば違和感なかったのかな?なんて考えていたら、友人は、「そりゃ藤原直美でしょう」というんだけどね。サイバラ本人もタバコ屋の店先にいるおばあさん役で出ていたらしい。

|

« ヒマラヤ映画2本 | トップページ | BALLAD 名もなき恋の歌 »

cinema」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ヒマラヤ映画2本 | トップページ | BALLAD 名もなき恋の歌 »