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2006.01.11

食品の裏側 みんな大好きな食品添加物

「食品の裏側」安部司著。東洋経済新報社。
著者は、食品添加物の表も裏も知り尽くした、添加物専門商社の元トップセールスマン。営業の秘訣は、まず、食品加工の現場に赴いて同じ作業をやってみることに始まる。そうやって、加工業者さんの信頼を得たところで、「こんな添加物を使うとこんなに簡単にこんなものが作れまっせ」とささやいては、昔気質の職人さんに「魂を売らせて」まがいもんを作らせ続けてきた。産廃寸前のクズ肉の利用法として開発した添加物まみれの味付けミートボールがスーパーの特売用商品として大当たり、しかし、それを我が子が誕生日のディナーで喜んで食べているのを見た瞬間、「こんなもんを食わせたくない!」。彼は自分も消費者の一人であることを悟り、回心するのである。
以下、展開される添加物まみれの加工食品業界の舞台裏。これが実に面白い。というか、身の毛のよだつような話が多いわけですが、多かれ少なかれ、好むと好まざるとに関わらず、私たちは、こういうものを日々口にしているのだな。

添加物が多い三大食品は、「明太子」「漬け物」「練り物、ハム・ソーセージ」。
これらの食品をどうやって作っているのか、とぃう記述は圧巻。スーパーの安売りに手がのびなくなる。
漬け物は自分でも漬けているけれど、ときどき、買ってたんだな、手軽だから。塩だけで漬けた自家製の漬け物ならそんなに食べられないのに、市販の塩味の薄い漬け物をぱくぱくたくさん食べられてしまう理由は、添加物で味をまるくしているからだって。結果として塩分も添加物もいっぱい食べてるんだっていうのを読んであちゃーと思う。やっぱりねえ。
「本みりん」と「みりん風調味料」では、値段も大きく違うが、その中身も全く違う。「みりん風」の方は添加物てんこもり。あわててうちの台所のみりんを見に行った。原材料はもち米と米麹の「本みりん」だったよ。ほっ。でも、料理酒の方は、添加物てんこもりだった。まあ、ただの酒じゃないことは知ってたけどね。そういう話がいっぱい出てきます。
私は、以前、日本消費者連盟のニュースレターを定期購読していて、そこで制作した「危ない食品添加物」なんてビデオも持っているのだが、それで得ていた知識がいかに断片的なものであったかを思い知った。
加工食品を買う時は、その表示をよく見よ、そこに台所にはないモノの名前が書かれていたら、それは添加物であり、入れなくてすめば入れない方がいいものなのだ、という。
気をつけた方がいいのは、使用量に法による制限のある「化学物質」だけじゃなく、一見、どうってことなさそうなブドウ糖果糖液糖、たんぱく加水分解物など。そういったもので作られた食べ物が味覚を破壊するっていう話は、子どもにだしの味を覚えさせよという伏木先生の話とも共通する(たしかに、カップ入りインスタント麺など、味覚が壊れるっていうか、壊れてないと食べられないのがある。このあいだ、各種もらったんで試しに食べようとしたけど、あまりひどいんでスープごと捨てちゃいました)。
たしかに、私たちの日常生活は添加物の恩恵を受けている、コンビニのサンドウィッチや駅弁などのおかげで、手軽にいつでも食事ができる。でも、摂りすぎない方がいいものは摂らないに越したことはない。消費者が情報を得ることで、避けられるものもある。加工食品に頼らずに手作りした方がいいというのは、スローフード運動にも共通するけど、安全とか健康といったことだけじゃなく、食べ物をつくるには、手間がかかるものなんだってことを子どもたちにちゃんと教えるべきだっていう主張につながっている。
かといって、すべて手作り、無添加無農薬で暮らせというのが現代人にとって無理なこともたしか。だから、週に何回かは加工食品、インスタントもの、コンビニ弁当を食べてもいいけど、その中に何が含まれているのか、心せよと説くのだな。知っていれば、毎日は食べ続けられないし、そういうものが混じってないものを食べたくなると。添加物の名前を全部暗記する必要はないけど、基本の名称とその作用などをかんたんにまとめた表もあって、なかなか役に立つ。安売りに飛びつく前に、なぜ、そんなに安いのかよーく考えよう。まあ、すでにそんなことは百も承知の人とか、添加物ゼロの自給生活といった人には関係ないかと思うが、私にとっては目鱗な本でした。


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コメント

うわ。読んでみようかな。わたしはずっと生協の宅配をとっていて、買い物も生協の店なんだけど、子供が大きくなってからはあんまり気にしなくなりました。宅配はともかく、お店に売っているのは信用できないものもある。
やっぱり顔の見える相手に売ることで責任感も出てくるんですね。

投稿: mariko | 2006.01.12 06:03

やっぱり、生協の方が何かと安心なんだろうなあ。その注文や配達のシステムがめんどくさくて加入できないんだけど。
この本では、三食をコンビニものなどで済ます独身サラリーマンよりも、家庭で食事作りをしている主婦の方が(メニューによっては)たくさんの種類の添加物を摂取することになるからくりが書かれていて、ほおーっと思いました。

投稿: EMY | 2006.01.13 19:21

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