食べられる服
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昨日は、ある美術館で開かれていたゴルチエの展覧会を見に行きました。あの服飾デザイナーのジャンポール・ゴルチエですが、パンで作った服を披露するというもの。ゴルチエらしく、食用色素を混ぜて黒い縞とか渦巻き模様の入ったパンもあったけど(しかもそれは会場の片隅で売っている)、ほとんどはふつうのフランスパンの生地を使って焼いたもの。パン生地を使って人間の形を焼いたのもありましたが、ドレス各種、バッグや帽子といった小物も。ラングドシャを鱗のようにつなぎ合わせて作ったドレスは、電気仕掛けで動かして、鱗がさらさらと揺れるさまをみせていた。印象的だったのは会場のにおい。一歩はいったらパンを焼くいい匂いにつつまれる。実は、吹き抜けの1,2階と地下が会場なんだけど、地下にプロフェッショナルなパン焼き工房がつくられていて、絶えず、なんかのパンが焼かれている。
それを一階の会場でも売っているというわけ。このごろは、音の出る仕掛けのある美術作品もあるけれど、嗅覚に訴えてくる展覧会は初めてだ。それから、「手をふれないでください」とあるだけでなく、「食べないでください」という張り紙のある展覧会というのも。
そして、会場の監視員はみなパン屋さんのように白い服に白いエプロンをつけている。パンの売り子をしている女の子は、ゴルチエの白のビスチエを着て、腰に逆円錐形のかごをつけてそこにバゲットを2,3本入れて歩き回っているんだけど、服が似合っていることもあってこれが、すごくかわいい。写真を撮りたかったけど、写真撮影は禁止でした。展覧会場ではあたりまえか(さすがに人物にはカメラは向けられなかったけど、一階の会場は監視員の死角にあたる吹き抜けの2階の階段からこっそり撮ってみた)。
カタログを見たら、30ユーロもする上にパンの作品の写真はほとんどなくてゴルチエのふつうの服の紹介ばかりだったんでやめた。絵はがきだけ、一枚買ったけど、なぜか小物の写真のばかりで、おもしろいドレスのがなくてこれもちょっとがっかり。でも、考えてみたら、この展覧会の紹介は写真だけじゃだめなの。あの会場全体を包むパンの匂いがないとね。そして、日本だったら、6月から10月なんていう長い会期でこんな展覧会はできないよ。カビの匂いに包まれてしまうよ、きっと。カビが生えているのは、大きめの人体の試作品の一部だけだったというのも驚異的。それとも防カビ剤、使ってるのか?
これが地下でパンを焼いているところ。



Comments
わあ、ものすごく楽しそうですね。
日本でも乾燥した時期に、短期間でもいいからやって欲しい。
でも無理なんでしょうねえ、パンを運んでくるのも大変そうだし、それにパン工房までできる美術館なんてそうなさそうだ。
原美術館あたりなら?なんて思うけれども、吹抜けになってないとなかなか全体に匂いが行かないでしょうし。
Posted by: PINO | 2004.08.16 at 01:09 AM
PINOさんにお見せするために、写真を追加してみました。
一番上の写真の右端の作品は、胸が砲弾のように突き出した典型的ゴルチエスタイルなんだけど、小さくて見えませんね。
2枚目の写真の奥の方の作品は、四角いビスケットをつなぎあわせたドレスです。
Posted by: EMY | 2004.08.20 at 03:02 PM
わあ、嬉しい!
言われてみないとまさかパンとは思えない感じです。木みたい。
実際に見ると、そして匂いもするからパンなんだろうけど。
実際に人が着たらどうなるんでしょうね。
歩くたびにボロボロとかけらが落ちたりするのかしら。
一番奥で倒れているのも気になったり。これが人の形に焼いたパンなのかな。
Posted by: PINO | 2004.08.23 at 04:58 AM
まあ、服や人のかたちをしたオブジェということで、服も実際には着られないでしょう。それと、匂いの元は、地下で焼いている本物の食用のパンのせいで、作品はもう、それほどのフレッシュな匂いはしないはず。でも、それを錯覚させる演出だったと思うのね、地下工房。
Posted by: EMY | 2004.08.23 at 08:28 AM
こんにちは、初めまして。トラックバックさせて頂きました。
実物を見られたのがとっても羨ましいです!
それにしても長い期間の展示に耐えるパン、、すごいですねぇ。よくドンクとかにパンで作った看板みたいなのとかあったりしますよね。なにか特殊な加工でもしているんでしょうかね。
ちなみにうちのブログでは食に関する話をいろいろしているので、よろしければ遊びに入らしてくださーい!
ではでは。
Posted by: TN | 2004.09.02 at 02:09 AM
コメントとトラックバック、ありがとうございました。
なかなかおもしろい展覧会でしたよ。アルファベットをかたどって焼いたパンを壁に貼り付けて展覧会のタイトル「PAIN COUTURE」と並べたものなんかもありました。
一番上の写真に写ってますが、ガラス張りの会場の天井から下まで、バゲットをたくさんつないで、カーテンのようにしていました。こちらの方は「食べ物を浪費してるっていう感じでイヤ」と、フランス人に酷評されてましたね。
とにかく、見終わったら、すごーくおなかが空いてしまいました。
Posted by: EMY | 2004.09.02 at 10:54 AM
バケットのカーテン、まるで簾のようですね!
食べ物で展覧会をすると、そういう評価は付きものですよねぇ。フランス人にとってパンは、日本人の米みたいなものでしょうから、日本でお米を粗末にしたら叱られるような感じなんでしょうね。
それにしても、こんな展示を見た後は、パン屋さんに駆け込んでしまいそうですね〜。
Posted by: サN | 2004.09.02 at 02:18 PM