星兎
『星兎』寮美千子著、パロル舎(1999)。
星からやってきた「うさぎ」と少年。他の誰とも共有することのない、自分一人だけにとっての大切な存在との出会いと別れ・・・平たく言ってしまえば、前回やや酷評してしまった「ラースとその彼女」と同じプロットながら、とことん通俗性を排し、少年期の清らかな印象だけを描ききることに成功したファンタジー。
他人の目からは見たらありえない存在との濃密な交流。それ自体は珍しくはないテーマだ。しかし、映画の「ラース」は、第三者の目から見た映像なのに対し、この物語は「ぼく」が一人称で体験を語る。だから、読者は主人公に感情移入しやすいし、その体験を自分のものとして共有しつつ読む。でも、それだけじゃないな。こういうお話はやっぱり、思春期の入り口にいる若いというか幼い者のものだという気がする。
もちろん、大人だってファンタジーに生きてもいい。
でも、夢から覚めて、現実の生活を生き始めるとき、少年から大人へという移行と重ねた方がしっくりくるんだ。




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