2011.03.28

花を売る乙女

北朝鮮映画。1972年。北朝鮮の国民的映画といわれている作品らしい。
 タイトルだけは知っていたし、なんだか見たことがあるような気がしていたのは、「小さな中国のお針子」の中でこの映画を上映するシーンがあったからだ。
 美しい歌声と共に街角で花を売る娘のシーンで始まる。もともとミュージカルとして作られた作品を映画化したということで、歌がひんぱんに使われている。
 時代は日帝下の1930年。貧しい小作農の家庭に生まれた娘、コップニ。父は亡く、母は病を押して地主の家で下働き。ひもじさに地主の家の縁側に干してあったナツメの実を取ろうとした妹スンヒは、起こった地主の妻に熱湯を浴びせられて失明。その夜に起こった火事の放火犯と見なされた兄は逮捕されて遠方の地に送られる。コップニは母に薬を買おうと、山のツツジなどを取ってきて町で売るがなかなか売れない。
 娘のコップニにだけは下女をやらせたくないという一心で身を粉にして働く母と、母の病を治してやりたい一心で花を売って金を作ろうとするコップニ。力尽きて母は死に、コップニは妹を隣家に預けて兄を訪ねていく。しかし、兄はすでに死んだといわれ、帰途につく。その間に地主の妻は幽霊の幻を見てうなされるようになり、その原因は、コップニを思って泣くスンヒに母親の霊がのりうつったせいだとして、番頭に命じてスンヒを亡き者にしようとする。番頭はスンヒを雪山の中に捨てる。コップニは九死に一生を得て家に帰り着くが、スンヒが地主のせいで行方不明になったことを知り、怒りのあまり地主の家に乗り込み、逆に縄をかけられ、閉じ込められてしまう。
 一方、死んだと思われていた兄、チョルヨンは、獄を抜け出して革命軍に参加していた。仲間と共に、自宅に戻る途中で、山小屋を訪ね、猟師が山でスンヒを保護していたことを知る。スンヒを連れて帰ってきたチョルヨンは、コップニが地主にとらえられたことを知る。悪いのは日帝と日帝に操られている地主層。同じ村の百姓たちに祖国を取り戻すための革命を説き、地主の家に乗り込んでコップニを取り戻す。
 ふたたび、町で花を売るようになったコップニ。花束には革命を説いた文書が添えられている。村人たちもチョルヨンについて革命を学ぶ。明るい山野を手に手を取って歩むチョルヨン、コップニ、スンヒの三きょうだい。重々しいナレーションと共に幕を閉じる。

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2011.03.21

黒く濁る村

カン・ウソン監督の2010年作品。出演はパク・ヘイル、チョン・ジェヨン、ユ・ヘジンら。原作は、韓国のウェブマンガ「이끼(苔)」。ウェブマンガのサイトは、こちら
 韓国での公開からほんの数ヶ月という異例の速さで日本でも公開。「八つ墓村」風ホラーサスペンスという触れ込みで、あまり見る気になれなかった(怖い映画は嫌い)。その後、韓国映画をいろいろ見るようになったので、映画の描く社会的な側面が面白いかもと思い、恐る恐る見に行った。

 長い間音信不通だった父の死を告げる電話を受けて、父の住んでいた辺鄙な村に向かうユ・ヘグク。父の死因もはっきりしない上、村長をはじめ、村人たちのあからさまに迷惑そうな態度に疑念を抱く。葬式後もしばらく村に滞在することにし、村の雑貨屋の空き部屋に仮住まいする。雑貨屋の女主人を訪ねてくる村長の取り巻きの男たち。父の住んでいた家には秘密の抜け道があり、その男たちのうちの一人の家と地下道でつながっていた。高台の豪邸に住む村長は、表面的にはヘグクに親しげにするが、腹の底では何を思っているのかはわからない。
 父の資産を調査するにつれ、土地の所有権の移転が行われていたこと、銀行から預金が引き出されていたことなどを知り、ヘグクは村長について調べ始めると同時に、かつて、彼が左遷に追い込んだことのある旧知のパク・ミヌク検事に援助を頼む。
 村長の取り巻きのひと癖もふた癖もある男たちは、ヘグクを亡き者にしようとするが、一人、また一人と何かに呪われたかのように怪死する。やがて、ヘグクの父、村長、その取り巻きの男たち、雑貨店の女主人の関わった30年前のある事件が全貌をあらわす。

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2011.03.20

義兄弟

 チャン・フン監督の2010年作品。主演はソン・ガンホとカン・ドンウォン。どういうお話なのかはよくしらず、単にソン・ガンホが見たくて見ました。
 ひと言で言ってしまうと、南のスパイ捜査官、北の工作員のそれぞれが組織から切り捨てられてはぐれものになり、立場の違いを超えて一見、親密な関係を結ぶが・・・、という話。
 この南北対立と工作員、国家情報員の攻防みたいなハードな枠組みと、はぐれ者同士が、お互いの思惑を隠しつつ近づき、心を通わせるというソフトな部分との噛み合わせはあまりうまく行っているとは思えず、どっちつかずの印象を受けた。しかも、終盤、激しい攻防となり、死闘を繰り広げ、双方とも重傷を負ったと思えるのに、難なく元気に蘇生、するだけじゃなく、最後の最後のオマケのシーンには確かに笑いを誘われたけれど、映画としてのクォリティーをがくりと下げたのも事実。なんじゃ、これ?まあ、北がらみなだけに、こういうオマケでもなかったら、落としどころに困る話だったろうけど。
 なんか、ゆるゆるのアクション映画だったという印象。それでも本国で大ヒット、日本でもそれなりの観客を集めたのは、ひとえに俳優の人気と実力だろうか。
(以下、ネタバレ)

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2011.03.10

アンニョン!君の名は

 原題「Guan Muen Ho」英語タイトル「Hello! Stranger」パンジョン・ピサンタナクーン監督(2010)130分。出演:チャンタウィット・タナセーウィー、ヌンティダー・ソーポン。
 日本ではなかなか上映されることのないタイ映画。昨年、大ヒットしたというロマンチックコメディ。
 タイ映画ですが、舞台は韓国。なぜ、韓国かというと、タイでも韓流ドラマは大流行で、ドラマのロケ地めぐりツアーが人気。韓流ファンの一人旅の女性と、友人たちの企みでロケ地めぐりツアーに送り込まれてしまった男性が、同じ飛行機でバンコクからソウルに到着。
 彼女は、韓国にいるメル友のミンアの結婚式に出るのが主目的だけれど、韓流に理解を示さなず、嫉妬深い彼氏には「女友達との二人旅」とウソをつき、一人楽しく韓流ドラマの名所めぐりに精を出す。「コーヒープリンス一号店」を訪ね、冬ソナで有名な並木道でペ・ヨンジュンの像に頬を寄せる。人気パフォーマンスの「Jump」公演も。一方、彼はそもそも韓国に何の関心もなく、韓国語どころか、英語もろくろく話せない。ツアー一日目の「チャングム」のテーマパークもうろうろするだけ、二日目は雪岳山に向かうツアーバスに乗り損ね、どうすることも出来ないところを、たまたま出会ったタイ人の彼女に頼ることになる。
 彼にとっては生まれて初めての海外旅行で、ソウルのホテルのシャワートイレに驚き、犬肉鍋にショックを受け、活けダコの躍り食いに挑戦!
 彼女は、あこがれの韓流の本場に来て、準備万端、調べ尽くした名所に一人でどんどん出かけていく行動派。
 彼の体験が、ある意味、ステレオタイプ化された「韓国異文化体験」なら、彼女の行動も、韓流ブームを体験している多くの国の観客に共通の感覚を呼び起こさずにはおかない。まあ、日本では、ペ・ヨンジュンのファンは中高年ということになっていて、若い女の子に人気のあるのはもっと若いアイドル俳優たちなのだろうけれど。あまり韓国ドラマを見ない私も「冬ソナ」だけは見たことがあるので、スキー場とか、並木道には見覚えがあり、楽しかった。「チャングム」のテーマパークや、「コーヒープリンス一号店」以外にもいろいろ韓国ドラマネタが仕込んであったようだ。ドラマファンの人が見たら、もっと楽しめたはず。

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2011.02.23

わが心のオルガン

 最寄りの映画館で開催していた「イ・ビョンホン」特集の中から「これ」と思って選んだ一本。 私にとっては初イ・ビョンホン作品です。

 時は1963年。ソウルから江原道の寒村の小学校に赴任してきた21歳の新任教師、カン。
カンに小学校への道を尋ねられたホンヨンは、生まれて初めて「アガッシ(お嬢さん)」と声を掛けられて舞い上がる。
 ホンヨンは、3人の弟の子守をさせられ、遅れて就学、17歳の小学5年生。担任となったカン先生への思いを宿題の日記に綴る。一方、カン先生は同僚のヤン先生に恋をしている。
筋書きは他愛ないのですが、1960年代の農村の学校風景を再現した映像、素朴な人びとの描き方など、これでもかとノスタルジーを刺激する作りは、心憎いばかり。さらに、当時の都会の若者にとってはあこがれであったアメリカ音楽。それぞれのシーンでの音楽の使い方も絶妙で、カン先生とヤン先生が貸し借りするコニー・フランシスのLPが重要な小道具となっている。すでに20代の後半になっていたはずのイ・ビョンホンが21歳の素朴な青年を自然な演技で好演。
 そして、この映画で特筆すべきはやっぱりチョン・ドヨン。 当時26歳で、17歳の小学生を演じているのだが、完全に小学生になりきっている。17歳どころか、その幼い行動は15歳くらいにしか見えない。
 だるまストーブの回りの金網。ストーブの上にのっけたアルミの弁当箱。ドアを開けると黒板消しが落ちてくるいたずら。便所の壁の落書き。運動会の大玉転がしに綱引き。紅葉の山の遠足。日本人にも見覚えのある光景の数々。現実にはもっと悲惨だったり汚かったりしたのかもしれないのだけれど、こういった映像を通してみる過去はなんとも甘く懐かしい。
 韓国映画の中の学校では、ごく最近の学校を描いたものでさえも、教師が生徒に体罰としてものすごい暴力を振るう例が目につくのだが、この映画では暴力は最小限に抑えられ、しかも新任教師に「子どもたちを人間として扱うべき」とまで言わせているところもあってびっくり。そんなところも「理想化され過去」なのかもしれない。
(以下、ネタバレあり)

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2011.02.06

ディープ・ブルー・ナイト

ペ・チャンホ監督の1984年の作品。主演はアン・ソンギ。
原作は、チェ・イノの「深く青い夜」と「水上の砂漠で」。脚本もチェ・イノ自身による。
「深く青い夜」は、「現代韓国短編選・下」(岩波書店)に収録されており、翻訳を読むことができる。しかし、韓国に妻を残してアメリカの西海岸に渡った韓国人青年が主人公ということ以外、この映画とはまったく異なるストーリー。


アメリカに密入国し、永住権を得ようと、韓国系アメリカ人のジェーンと偽装結婚をしたペク・ホビン(アン・ソンギ)。
移民局の審査を経て、永住権を得たら、ジェーンとは離婚し、韓国にいる妻(まだ正式に結婚はしていないというから恋人か婚約者)を呼び寄せ、一旗揚げる心づもりだった。
ジェーンは、朝鮮戦争当時の在韓米兵と最初の結婚をして子どもも設けたが、離婚し、親権も手に入れることができず、ロスアンジェルスのバーで働きながら、ときどき持ち込まれる偽装結婚で金を稼いでいた。
一方、ハンサムで魅力的な彼は、これまでも在米韓国人を騙して金を巻き上げ、砂漠に置き去りにするなど、自分の夢のためには手段を選ばなかった。彼の夢とは、韓国にいる彼女を呼び寄せ、アメリカ人として成功し、大金持ちになること。同じような夢を抱いていた仲間は、深夜のバイト中、強盗に襲われ、命を失う。
偽装結婚の相手、ジェーンはペクを愛するようになり、彼の子どもを妊娠したといい、離婚はしないと言い始める。それを疎ましく思うようになった彼は、彼女を砂漠に連れだし、殺害しようとする。
必死の思いで抗いつつ、妊娠はうそで、「あなたの夢なんてこの砂漠のようなものよ」と言い放つジェーン。
我に返った彼は、さらに驚くべきことを知らされることになる。

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2011.01.29

ラジオ・スター

 「王の男」(2005)のイ・ジュニク監督の2006年の作品。主演はパク・チュンフン、アン・ソンギ。
 場末の喫茶店で弾き語りをする歌手のチェ・ゴン(パク・チュンフン)。暴力沙汰や大麻事件ですっかりおちぶれたが、本人は今を去ること18年前、1988年度の最優秀歌手となった栄光が忘れられない。そのゴンに影のように寄り添い、至れり尽くせりの奉仕を厭わないマネジャーのパク・ミンス(アン・ソンギ)。そんなゴンに江原道の田舎町、寧越(ヨンウォル)の地方局からDJの話が舞い込む。いまや統廃合で存亡のあやうい地方中継局が町おこしを賭けてかつてのスターを呼び込んだ。担当ディレクターは失言による放送事故で左遷されてきたカン嬢。傲慢な性格で地方ラジオを見下し、まるでやる気のないゴン。自らの妻子を十分に構うこともできないうしろめたさを抱きつつ、今までのゴンの不祥事のすべての尻ぬぐいをしてきたミンス。現場のスタッフとの呼吸も合わず、番組は大失敗に思えたが、投げやりなゴンがひきおこしたさまざまなアクシデントが逆に評判を呼び、一躍人気番組になる。ゴンをカリスマとして崇拝する地元の若者バンド「東江(イースト・リバー)」、コーヒーの出前を頼むタバンの娘、小さな地方都市だからこそ、さまざまなリスナーの顔が見える身近な番組作りができたのだ。その人気を聞きつけたソウルの本局が番組をソウルに移して全国放送にしようと考え、新たな芸能プロの社長もゴンの獲得に意欲を見せる。しかし、そのプロダクション所属の条件は、ゴンと20年来の絆を結んできたミンスの切り捨てだった。ミンスは、すべてゴンの成功のためと言い聞かせ、ゴンの元を去り、ソウルに戻る。一度は海苔巻の店を出して家計を支えていた妻は、店をたたみ、路上で海苔巻を売るようになっていた。その妻を助け、ミンスは繁華街の地下道入り口に立ち、道行くサラリーマンに海苔巻を売りまくる。仕事を終え、夫婦で帰宅するバスの中、ついにヨンウォルからの全国放送となったゴンの番組が流れ、ゴンのミンスへの悲痛な呼びかけを聞く。もう、ゴンの元には戻らないと決めたミンスだったが、妻のひと言に背中を押され、ゴンのいるヨンウォルに向かう。

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2011.01.18

ヒマラヤ、風がとどまる所

 「鳥は閉曲線を描く」のチョン・スイル監督の作品。主演はチェ・ミンシク。日本語字幕つきのDVD。
 字幕のおかげで、前作よりもわかりやすく、筋書きらしきものがあるのが救い。しかし、基本的に台詞はわずか、状況の説明は皆無で、見る者に映像から読み取ることを求める作品である。
 会社をリストラされたのだろうか、会社から私物を運び出す中年男チェ(チェ・ミンシク)。トレンチコートのポケットに片手を突っ込んだまま、昼飯のチャジャンミョンを食べる。そこにアジア系の肌の浅黒い男二人が入ってくるなり、流ちょうな韓国語で「チャジャンミョン二つ」と言って隣のテーブルに席を取る。彼らは明らかに、韓国の居住し、近くで働いているのだろう。チェが弟を工場に訪ねると、そこで働いていた出稼ぎネパール人ドルジの葬式が営まれていた。取り締まりにあって逃げる途中、交通事故にあったのだという。そこで、チェは遺骨と遺影を家族に届けようと、一人、ネパールに向かう。カトマンズらしき町の宿で旅装を解き、わざわざスーツに着替えて山に向かう。荷物はポーターに担がせ、身一つで高山の村に向かって歩き始めるが、高山病になり、山道で倒れてしまう。最後は、死んだようにロバの背に載せられて、ドルジの妻子の住む村にたどり着く。

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2011.01.17

クロッシング

独裁政権の下、経済的にも逼迫し、言論の自由もない北朝鮮。その北朝鮮からはさまざまなルートを通じて、国外に脱出する「脱北者」が後を絶たない。
この映画は、その脱北者の現実をかぎりなく事実に近い形で描いたフィクション。
多くの脱北者、また北朝鮮での取材経験者からのインタビューに基づいて作られたシナリオ、セットなどが今の北朝鮮を生々しく再現する。
元サッカー選手で、今は炭坑働くヨンスは、一人息子ジュニと妻ヨンファと粗末な住宅に暮らす。妊娠中のヨンファは結核に苦しむが、満足に薬も手に入らない。豆満江を渡って中国延辺州で物資を仕入れる知人を見て、妻を救いたい一心で彼も国境越えを決行する。材木工場での仕事にありつくが、不法入国者の一斉摘発にあって、稼いだ金をすべて失ってしまう。
また、人道団体のインタビューに答えれば金がもらえると言われ、思いもかけず、韓国に連れてこられてしまう。
ほんとうは、妻に薬を、息子にサッカーボールを買って帰りたいだけだった彼は、帰国の道を閉ざされ、途方に暮れてしまう。
一方、北朝鮮に残された妻は結核で命を落とし、ジュニも豆満江近くで、捉えられてしまう。
かつてのヨンスの知人の娘、ミソンと再会し、苦しい中でもなんとか生き延びようとするが、ミソンは力尽きて死ぬ。
ヨンスは韓国内のブローカーの手を借りて、なんとかジュニと再会しようとする。
ジュニが取ることになったのはモンゴル経由という途方もないルートだった。

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2011.01.09

公共の敵2

 「公共の敵」の続編を思わせるタイトルながら、前作とは直接のつながりはない。共通するのはソル・ギョングの演じる主人公の名前がカン・チョルジュンだということだけ。前作ではボクサー上がりの不良暴力刑事だったが、本作では検事に転身。主人公のアウトローぶり、犯人役の極悪ぶりなど、前作の破壊力が大きかっただけに、本作はこぎれいになりすぎてインパクトに欠ける感がある。カン検事は、検事としては型破りで上司に睨まれるタイプではあるが、基本は部下思いのいい人なので、人物像としては輪郭がぼやけてしまう。やたらに、ふてくされて暴れまくっていた前回と違い、さわやか笑顔が売りというのもなんか違和感がある。そう、キャラがつかめないのである。
 お話は、学校法人の資産の売却益で私腹を肥やし、権力者を金で操るハン・サンウ(チョン・ジュノ)が、チョルジュンの少年時代からの宿敵という因縁をからめ、そこに「兄を殺し、年寄りの清掃員を車ではねるような非道な人間」という韓国人の儒教的倫理観に触れる味付けをして、チョルジュンの正義感に火をつける。年配の副理事の二転三転する証言など、チョルジュンが窮地に追い込まれる設定もあり、長尺も気にならないストーリー展開ではある。最後は、「公共の敵」たる極悪人に主人公が殴る蹴るの暴行を加えるという公式道理の結末。
 

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